プレスリリース
EV向けチップ抵抗市場、2033年に21億ドル到達へ
予測期間CAGRは6.5%――アジア太平洋が最大かつ最速成長地域
バッテリー管理システム需要の急拡大と電子部品小型化トレンドが市場拡大を加速。村田製作所・パナソニック・ローム・KOAを擁する日本勢が高信頼性セグメントを牽引。
配信日: 2026年4月25日 | 発行: 市場洞察(東京)
市場洞察(東京)は本日、グローバルおよび日本のEV向けチップ抵抗(Chip Resistor for EV)市場を対象とした最新シンジケート型調査レポート「Chip Resistor For EV」を正式に発刊した。業界調査に基づく本レポートによれば、同市場のグローバル規模は基準年2025年時点で13億5,000万ドルに達しており、2026年から2033年にかけてCAGR6.5%で持続的拡大を続け、2033年には21億ドルへ到達する見通しである。電気自動車(EV)の世界的な急速普及、バッテリー管理システム(BMS)における精密部品需要の増大、および電子部品の小型化・高機能化トレンドが複合的に作用し、同市場の成長軌道を確固たるものとしている。
調査ハイライト
- グローバル市場規模(2025年基準): 13億5,000万ドル
- 予測期間末規模(2033年): 21億ドル
- 予測期間CAGR(2026-2033年): 6.5%
- 最大地域・最速成長地域: アジア太平洋(シェア38.9%、CAGR 7.5%)
- 北米: シェア25%、CAGR 7.2%
- 欧州: シェア16%、CAGR 6.0%
- 市場集中度: 中程度(Moderately Concentrated)
- 主要タイプ別セグメント: 厚膜(Thick Film)、薄膜(Thin Film)、その他
- 主要用途別セグメント: 自動車・輸送、民生電子機器、産業機器、IT・通信
- 主要成長ドライバー: EV普及とBMS需要拡大、電子部品小型化と5G展開、IoTエコシステムの拡張
市場成長の背景
EV向けチップ抵抗市場の拡大を根本的に支えているのは、グローバルな電動車普及の加速とそれに伴う車載電子部品需要の急増である。EV1台あたりのチップ抵抗搭載数は、内燃機関(ICE)搭載車と比較して大幅に多く、とりわけバッテリー管理システム(BMS)、高電圧インバーター、モータードライブ回路、電流センシング回路といった機能部位での精密チップ抵抗採用が顕著に拡大している。業界調査では、BMS向け電流センシング用途における厚膜・薄膜双方の採用加速が確認されており、これが製品単価の緩やかな上昇とともに市場規模拡大を牽引する二重構造となっている。
EVパワートレイン需要に加え、5Gインフラ展開に伴う通信基地局・端末への高周波対応チップ抵抗需要と、スマートファクトリー・コネクテッドデバイスの普及によるIoTエコシステムの拡張も重要な複合ドライバーとして機能している。電子部品全体の小型化・高密度実装トレンドを受け、0402・0201サイズ等の超小型チップ抵抗への技術シフトが進んでいることも、部品単価の維持・向上を通じて市場バリューの底上げに貢献している。一方で、主要原材料のサプライチェーンリスクおよびアジア系メーカー間の価格競争の激化は市場拡大を一定程度抑制する要因として業界内で認識されており、本レポートではこれらの抑制要因についても定量的根拠を示しながら詳述している。
地域別構造
アジア太平洋地域はグローバル市場においてシェア38.9%を占める最大市場であると同時に、CAGR7.5%を記録する最速成長地域でもある。中国における世界最大規模のEV生産・販売台数、日本・韓国・台湾に集積する精密電子部品メーカー群、および主要国での5G商用展開の急速な進展がこの地位を不動のものとしている。中国では政府主導の電動化政策がEV新車販売を押し上げており、BMS向けチップ抵抗需要は構造的な増大局面にある。台湾・韓国では世界的パッシブ部品メーカーが大規模生産拠点を構え、コスト競争力と供給安定性の両立を図っている。
北米市場はシェア25%、CAGR7.2%と高成長を持続しており、産業オートメーション投資の加速とIoTデバイス普及が域内需要を拡大させている。EV市場においては主要自動車メーカーによる電動化投資の本格化が2026年以降の需要加速を予感させる。欧州はシェア16%、CAGR6.0%と3地域中では相対的に保守的な成長率を示すものの、EU域内での内燃機関新車販売規制が中期的に強力な需要押し上げ要因として機能する見通しであり、欧州の自動車Tier1向け高信頼性部品需要は日本・米国サプライヤーの重要な収益源となり続けている。
日本市場
日本市場はアジア太平洋の中核構成国として、グローバル成長率(CAGR6.5%)と同水準以上の伸びが業界内では想定されている。国内においてもトヨタ・ホンダ・日産をはじめとする主要完成車メーカーが電動化目標を相次いで公表しており、EV・HEV向け車載電子部品の国内調達需要は持続的な拡大局面にある。村田製作所(Murata Manufacturing)、パナソニック(Panasonic Corporation)、ローム(ROHM Co., Ltd.)、KOAコーポレーション(KOA Corporation)の国内4社はいずれもグローバルサプライヤーとしての地位を確立しており、高信頼性・高耐熱設計という日本勢の技術的差別化優位が欧米の自動車Tier1向け供給において確固たる競争力を生み出している。
規制環境の観点では、国土交通省によるEV関連安全基準の整備強化および経済産業省の蓄電池・電動化産業政策が、車載部品の品質・信頼性要求水準を引き上げており、AEC-Q200適合品や耐熱・耐振動性能に優れた高付加価値チップ抵抗への需要シフトが進行している。この規制動向は中低価格帯製品との差別化を追求する日本メーカーにとって追い風となっており、特にEVパワートレイン・インバーター向けのSiCデバイス対応チップ抵抗分野でROHMが示す垂直統合型ソリューションは国際的に注目されている。
KOAコーポレーションはEVバッテリー監視システム向けの高電力型電流センシング用チップ抵抗において国内外で実績を拡大しており、熱マネジメントと電流検知精度の両立という高度な技術要件への対応が市場での評価を高めている。村田製作所は超小型品(0402・0201サイズ)での技術的優位を活かしたEVパワートレイン向けソリューション提案を強化しており、部品単体供給からモジュール・セット提案へのアップセルが収益性向上に寄与している。これら日本企業の技術集積と強固な顧客基盤は、グローバル市場における日本の存在感を中長期にわたって支える構造的優位となっている。
セグメント別分析
技術種別セグメントでは、厚膜(Thick Film)抵抗器が数量ベースで過半を占め、市場をリードしている。厚膜製品はコスト競争力と大量生産性の高さから、量産EVモデルのBMS基板および民生電子機器への採用が広く定着している。一方、薄膜(Thin Film)抵抗器は抵抗値公差0.01%クラスの高精度特性と優れた熱安定性を武器に、高電圧EV用途・産業機器・IT通信インフラ向けで採用拡大が顕著であり、業界調査によれば高電圧EV対応薄膜技術の改良開発が直近の技術トレンドとして確認されている。「その他」カテゴリには、特殊素材・特定用途向けに開発された次世代製品が含まれ、今後のニッチ需要開拓が期待されている。
用途別では、自動車・輸送セグメントがEV普及を直接反映した構造として最大のウェイトを占める。EV1台あたりに搭載されるチップ抵抗数の増加と車種ラインアップの拡充が需要規模を底上げしており、このセグメントは予測期間を通じて最も安定した成長源となる。民生電子機器セグメントは5G対応スマートフォン・ウェアラブル機器の普及拡大に支えられ、超小型品需要が旺盛である。産業機器セグメントはスマートファクトリー投資とロボティクス普及が需要を牽引し、IT・通信セグメントは5Gインフラ展開とデータセンター増設がチップ抵抗需要の安定した底支えとなっている。
主要企業と競争構造
市場集中度は中程度(Moderately Concentrated)に分類され、Vishay Intertechnology(米国)、Yageo Corporation(台湾)、村田製作所(日本)、パナソニック(日本)、Samsung Electro-Mechanics(韓国)が上位5社を形成している。Vishayは精密薄膜品でのブランド力を背景に欧米の自動車Tier1との長期供給関係を維持し、Yageoは世界最大のパッシブ部品メーカーとして厚膜・薄膜双方のコストリーダー地位を確立、M&A戦略による水平統合を推進している。村田製作所は超小型高精度品とモジュール化提案で差別化を図り、パナソニックはAEC-Q200適合の高信頼性品でEVメーカーとの密接な技術協力関係を維持している。ROHMはSiCパワーデバイスとの統合ソリューションで部品単体競争から一線を画し、KOAは高電力型電流センシング用途で独自ポジションを構築している。TE Connectivity(スイス)はEVコネクターとの統合提案、Bourns(米国)はバッテリー保護回路向け特化品で中堅市場を押さえる一方、中国系メーカーによる汎用品セグメントへの価格圧力が既存プレーヤーの高付加価値シフトを促進している。
会社概要
市場洞察は、エネルギー・電子部品・自動車・情報通信・産業機器など多様な分野を対象とするシンジケート型市場調査レポートの調査・発行を専業とする調査機関である。一次・二次調査の融合分析、独自の数量モデルおよび企業戦略分析フレームワークを駆使し、電子部品サプライチェーンへの参入を検討するメーカー、投資判断を求める機関投資家・ベンチャーキャピタル、市場動向を継続モニタリングする調達・経営戦略部門、および技術・規制トレンドを把握する研究機関に対し、実務的意思決定を直接支援する高品質な市場インテリジェンスを提供している。
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